【感想・あらすじ】カップルで観に行くと別れる?と噂の映画『花束みたいな恋をした』

菅田将暉有村架純のW主演、今何かと話題の映画『花束みたいな恋をした』を観に行ってきました。感想をお届けします。

  • 作品情報

東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪の声」「映画 ビリギャル」の土井裕泰監督のメガホンにより、偶然な出会いからはじまった恋の5年間の行方が描かれる。東京・京王線明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。

(「映画.com」より)

前半は幸せすぎるほどの恋物語

同じ駅で終電を逃した、という出来事だけで出会った二人が、お互いの趣味や好みが似ていることで意気投合して恋愛関係になり、学生からフリーター時代を経て、社会に出てそれぞれの道を歩み始めていくまでの素敵で切ない恋のお話です。

前半はもう出来過ぎかってくらいのキュンキュンするラブストーリーでした。まず「麦くん」「絹ちゃん」って名前が可愛すぎてずるい。そしてまた2人がお互いのことを呼び捨てじゃなくてちゃんと麦くんと絹ちゃんって呼び合うところも可愛すぎましたね……。

 ずーっとニヤニヤしながら見て、ファミレスで麦くんが絹ちゃんに「僕と付き合ってくれませんか?」って告白するシーンは尊すぎて思わず泣いてしまいました。海でじゃれ合いながら写真いっぱい撮り合うデートシーンも、見ているこちらが恥ずかしくなるような幸せっぷりでした。

 

避けられなかった二人のすれ違い

フリーター期間を経て、社会に出て働き始めた二人は少しずつすれ違っていきます。二人のすれ違いは、見ていて本当にしんどかったです。これが巷でカップルで観に行っちゃいけない」と言われている理由か〜とも思いました。

お互いがお互いのことを想っているが故に生じてしまう歪みはなんて物悲しいんだろう。麦くんはもちろん絹ちゃんのことが好きで大事で、絹ちゃんももちろん麦くんのことが好きで大事なのは間違いないのに、それぞれの気持ちは交わることなく平行線を辿っているみたいでした。でも、大事だからこそ、好きだからこそ、の決断なんだとも思います。

これは映画の中の話ですが、学生時代から付き合って、社会人になってからも数年付き合って、周りからはそろそろ結婚するんじゃないかと言われていたカップルが、結婚することなく別れを選択することはリアルでもよくある話です。

 二人の事情は二人にしか分かりませんが、そんなカップルにも、この映画の中の二人みたいにたくさんの幸せと葛藤が詰まっているんだろうなと思うと何だか勝手に寂しい気持ちになりました。それでも人は前に進んで、何事もなかったかのように次の恋に進んでいきます。それはそれでとても幸せなことですが、一方でちょっと残酷だとも個人的には思います。

それぞれの次の恋

個人的に一番しんどかったのは最後の最後、麦くんと絹ちゃんがそれぞれ新しい恋人とデートしているところに鉢合わせするシーンです。私はこういう時、つい新しい恋人になった立場で考えてしまいます。

 もし自分の恋人に、花束みたいな恋をした、あんな存在の元カノがいたら…って考えると、結構耐えられませんね……。というか、そんな情報は絶対に知りたくありません。

Googleマップに自分と元カノのデートショットが掲載されてて歓喜してる彼氏の姿なんて絶対に耐えられない……!!)

 麦くんと絹ちゃんは過去の恋人の話を今の恋人にするような無神経な人間ではないから、今の恋人たちはきっと何も知らないまま。それはとても幸せなことですが、映画を見てしまった私は、今の恋人は、麦くんと絹ちゃんのこの花束みたいな恋には絶対に敵わないんじゃないか……、とちょっと残酷な気持ちになってしまいます。

でも、よくよく考えたら新しい恋人たちも過去にはいろんな恋愛をしてきているわけで、もしかしたら麦くんと絹ちゃん以上に素敵な恋をしてきたかもしれないね、と思ったりしました。そうであってほしいな、とも思います。