2021-01-01から1年間の記事一覧

【感想・あらすじ】"普通"という概念に縛られない生き方をコミカルに描いた作品『まともじゃないのは君も一緒』

"普通じゃない"予備校講師と、恋愛知識は豊富だが経験はゼロという女子高生が、ある恋愛作戦に挑むラブコメ映画です。予備校講師役の成田凌と女子高生役の清原果耶のコンビの相性が"良い意味で"最悪で、つまりは最高でした。早速、本作品のあらすじとネタバ…

【感想・あらすじ】誰にも理解してくれない苦しみと静かな幸せへの希望『流浪の月』/凪良ゆう

2020年本屋大賞を受賞した、凪良ゆうさんの作品です。幼女誘拐事件の犯人と、その"被害者"とされた幼女のその後の物語。二人の関係性は世間が思っているものとは程遠く、実は、幼女はその男に助けられていたのです。苦しさを感じつつもページを捲る手は止ま…

【感想・あらすじ】"たくらみ"に満ちた連作恋愛短編集『累々』/松井玲奈

2021年1月に発売された、松井玲奈さんの小説第二作目。紹介文に"たくらみに満ちた自身初の連作短編集"とある通り、この短編集にはちょっとした仕掛けが施されています。全体を通しての感想を書いてしまうとネタバレになりそうなので、今回は1つ1つのお話に…

【感想・あらすじ】"勉強ができる"とはどういうことか?『ぼくは勉強ができない』/山田詠美

1996年に発行された、言わずと知れた山田詠美さんの名作。初めて読んだのは主人公の時田くんと同じ高校生の頃で、当時もそれなりに楽しんで読んでいた記憶がありますが、大人になってから読むとまた違った感情が湧いてくるから面白いものです。それでは、あ…

【感想・あらすじ】穏やかなストーリーの中にある、人生において大事なこと(『かもめ食堂』/群ようこ)

2006年に映画化された群ようこさんの小説。フィンランドという慣れない土地で食堂を始めた主人公サチエが、個性豊かな仲間に出会い、穏やかな日々を紡いでいきます。緩やかなストーリーでありながらも、人生において大切なことがいっぱい詰められている物語…

【感想・あらすじ】読後は奇妙な感覚に包まれる、「夫婦」の不可思議さを描いた物語『異類婚姻譚』/本谷有希子

第154回芥川賞受賞作、本谷有希子さんの『異類婚姻譚』を紹介します。他人同士が身内になる「夫婦」の不可思議さが描かれ、読後は何ともいえない奇妙な感覚に包まれる物語でした。 子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自…

【感想・あらすじ】本からピアノの音色が伝わってくる、美しく優しい物語『羊と鋼の森』/宮下奈都

第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位……と、伝説の三冠を達成した『羊と鋼の森』/宮下奈都を紹介します。読んだ後も心地よい余韻にずっと包まれるような、美しく優しい物語でした。 高校生の時、偶然ピアノ調律…

【感想・あらすじ】映画『あのこは貴族』に描かれているのは、二人の女の子の優しい対比

映画『あのこは貴族』を観賞してきました。東京育ちの女の子も、地方から上京してきた女の子も、何ならそのどちらでもない子にも、全ての女の子に見てほしいと思える素敵な作品でした。 作品情報 山内マリコの同名小説を原作に、同じ都会に暮らしながら全く…

【感想・あらすじ】映画『劇場』で、不器用で"愚か"な二人が魅せる美しさ

映画公開日と同時にAmazonプライムで配信、という新しい公開スタイルで話題になった『劇場』、遅ればせながらようやく視聴(Amazonプライムにて)しました。 作品情報 「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を、主演・山崎賢人、ヒロイン…

【感想・あらすじ】カップルで観に行くと別れる?と噂の映画『花束みたいな恋をした』

菅田将暉と有村架純のW主演、今何かと話題の映画『花束みたいな恋をした』を観に行ってきました。感想をお届けします。 作品情報 「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将…